他者や自分自身に怒りを感じる経験は誰しもあります。怒りの感情は私たちを不安定で不快な状態に連れていきます。
そこから抜け出したくて、自分の正当性を頭の中で繰り返し考えたり、怒りを感じてしまった自分は小さい人間だと自分を責めたりして強引に怒りを抑えつけようとしたりします。
でも、怒りの感情そのものは善でも悪でもありません。認知行動療法を神経科学で考える-1でも少しふれましたが、感情そのものは勝手に湧き上がってくるもので、それ自体に罪はありません。あなたが怒りを選んだのではなく、ただそこに私たちが怒りと呼ぶような機能(脳と体の相互作用)が生まれただけ。ですから怒りの感情自体は問題ではありません。
問題は湧き上がった怒りに対してどう関わるかです。関わり方を間違えると心は自由を失います。しかし、怒りのエネルギーに巻き込まれるか、怒りをありのままに受け入れ見守るかは選ぶことが出来ます。つまり私たちが変化を起こせるのは感情そのものではなく、感情との関わり方です。
では、どうすれば賢く選ぶことが出来るのでしょうか?そのためには、怒りに任せて反射的にあれこれ考えたり感情的に行動したりする前に、一度立ち止まることが必要です。選ぶためにはスペースが必要というわけです。マインドフルネストレーニングは、呼吸や身体感覚に立ち戻ることでスペースを作り、良い悪いの判断を加えずに、今ここでの経験をあるがままに見る(知る)力を鍛えてくれます。
このような心の状態はすぐに得られる訳ではありません。繰り返し練習が必要です。でも、やってみるだけの価値があると思いませんか?