私たちの注意は一つのところに留まっておくことが苦手です。特に今この一瞬一瞬の中に注意を置き続けることが最も苦手で、気が付けば過去にとんでいって反省会を始めたり、未来へとんでいって不安になったりします。
不安は、言い換えれば自分の想像の中で作り上げた未来の脅威に対する闘争-逃走反応です。
闘争-逃走反応は、人間の動物的な脳の中にしっかりと埋め込まれた原始的なストレス反応です。
そして不安が喚起されると、私たちの脳は生き延びるために脅威に対して逃げるか戦うかを判断し、俊敏に行動できるように、より脅威に注意の焦点を絞ります。この例でいうと、自分の頭の中で想像した未来の脅威によりフォーカスするということです。
そうなると、不安によって注意がハイジャックされたかのような状態になります。まるで釣り針をかけられた魚が自分の意図しない方向にグイグイ引っ張られていくように、私たちの注意はコントロールを失って右へ左へ暴れまわります。
そうやって、未来の脅威に焦点が当たり続けることで、小さかったはずの不安はみるみる大きくなって、人生が終わってしまうかのような巨大な不安に圧倒されることになるかもしれません。
さて
ここで一度呼吸に戻りましょう。
必要なら3回深呼吸をして、それから普段の呼吸に戻ったら、呼吸と一緒に変化している体の感覚に注意を向けます。
吸う息でお腹や胸が膨らんでいることに気付きます。
吐く息でお腹がへこんで、胸が下がっていくことに気付きます。
息を吸いながら、ただ息を吸っていることに気付いて
息を吐きながら、ただ息を吐いていることに気付きます。
そうすることで、今この瞬間に注意が戻ったことに気付いたでしょうか?ついさっき頭の中で作り上げた悲惨な未来は、単に自分が想像した世界であって、現実とは違うことに気付いたでしょうか?
不安は私たちの注意をいとも簡単にハイジャックしていきます。しかし同時に私たちは奪われた注意の舵を取り戻す力を持っています。
マインドフルネスは注意の舵取りを教えてくれます。