マインドフルネスとコンパッションは鳥の両翼に例えられます。両方が揃って初めて空を飛ぶことができます。
先日参加したGRACEプログラムで、JoanがJon Kabat-Zinnにマインドフルネスとコンパションの関係について尋ねた時、”Training mindfulness does not necessarily involve compassion (マインドフルネスのトレーニングをしているからといって必ずしもコンパッションを伴っているとは限らない)“という答えが返ってきたという話をしていました。
確かに、マインドフルネスではより注意の側面(維持、検知、切り替え、モニタリング)がトレーニングの対象となるので、それだけではコンパッションの芽は育ちません。
しかし経験的に感じるのは、マインドフルネスによって、今という瞬間に意図的に注意を留める力が備わってくると、自分の心の中にそれまでなかった空間(space)を感じられるようになります。そしてその空間が、慈悲の心 (compassionate mind)や賢い心 (wise mind)が芽を出す土壌となるのではないかこいうとです。
実際に私は瞑想中に心が静まってくると、「自分が本当に大事に思っていることは何か」、「自分にとって本当に価値ある行動とは何か」、「自分の周りにいる人たちにどうすれば役立つことが出来るか」、「どうすれば独りよがりでないやり方で誰かを支えることができるか」、といったことが何処からともなく頭に浮ぶことを頻繁に経験します。
MBSR (Mindfulness Based Stress Reduction)のプログラムに参加していた時に、他の参加者の人に、私の上記のような体験について話したことがあるのですが、「それ、他の人も同じようなこと言っていたよ。」という答えが返ってきて、やっぱりそうかと妙に嬉しかったのを覚えています。
また、今回のGRACEプログラムの中で、真のコンパッションを体現する上では、今この瞬間への純粋なフォーカスが必須であることを学びました。
そういう意味で、両者は独立して存在しているのではありません。Jon Kabat-Zinnが言うように、マインドフルネスをやったからといって必ずしもコンパッションが得られる訳ではありませんが、マインドフルネスがコンパッションが育つ土壌となり、コンパッションがマインドフルネスが育つ土壌となります。
マインドフルネス瞑想をやっていて、難しさを感じている方がいらっしゃったら、是非コンパッションのトレーニングを合わせてみてください。2つの翼が揃えば上手く飛べるかもしれません。