瞑想をすることで脳の機能や構造が変化することが多くの研究で示されています。
瞑想は大きく集中瞑想と観察瞑想の2つに分けられます。同じ瞑想でも、この2つは少し違う脳機能を必要としていて、瞑想というトレーニングによって鍛えることができます。今日は、瞑想に関する先行研究をまとめた総説論文からこの2つの瞑想の違いを少しご紹介します。
集中瞑想(Focused Attention)
意図的に特定の対象に注意を向け維持するスタイル。以下の機能が必要。
- 注意の維持(sustaining)
- 注意が維持されているかのモニタリング(monitoring)
- 注意がそれたことの検出(detecting)
- それた対象から注意を切り離して特定の対象にもう一度戻す(reorienting)
これらの機能はそれぞれ異なる神経基盤を持っていて、
- 競合状況のモニタリング(背側前帯状皮質、背側前頭前皮質)
- 選択的注意(側頭頭頂接合部、腹側前頭前皮質、前頭眼野、頭頂間溝)
- 注意維持(右前頭部、右頭頂部、視床)
などが関与している。
観察瞑想(Open Monitering)
特定の対象に注意を留めず、一瞬一瞬の経験を非反応的に観察するスタイル。観察瞑想は明確な注意集中を必要としないため、1つの対象への注意維持に関わる脳領域ではなく、
- モニタリング
- 警戒(vigilance:長時間に渡って課題に集中する力)
- 今ここでの経験と関係のない事柄から注意を切り離すこと
などに関連する脳領域の活動を必要とする。
このように、どちらの瞑想も注意の制御に関連する脳領域が関わっています。瞑想というと、無になることをイメージされる方が多いのですが、決して無になることを目指しているのではなく、今ここにある情報(五感によって入力される感覚情報、体の内側の感覚、思考、感情)に満遍なく気づけることを大事にしています。そういう意味では、むしろマインドフルな状態は、無になることとは真逆の状態と言えるかもしれません。